OBSESSED with BABYMETAL

BABYMETALのライブレポートや雑感・考察などのブログ

BABYMETAL ロス公演(パラディウム) ライブレポ

 

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1.

白い砂浜の先には藍色の世界が果てしなく広がっている。
陽射しは強いが空気は乾燥しているので程よく心地良い。
夢にまで見た、ということはないが、過去にイメージしたことは何度かあった。
“ なるほど、これがカリフォルニアの天候か―― ”
バックパックを下ろすと両肩のみならず心も幾分軽くなった。
カラッと晴れ渡った空は心根をも照らし、自然と僕の口元に薄い笑みを湛えさせた。

 

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昨年9月の東京ドーム以来、約9ヶ月ぶりとなるBABYMETALの単独公演。
場所はアメリカロサンゼルス。会場は The Hollywood Palladium。
ありていに言えば、悶々とした衷情を開放する為に僕はこの地へやって来た。
この9ヶ月の間に、サポートで参加した5公演のライブは観たが、それだけでは物足りなかった。
次に行われる単独ライブが海外ならば観に行かねば――と、海外遠征を考慮したとき、
欧州がその第一候補となるのだが、ツアーの予定が組み込まれないのであれば致し方なし。
かくして、5度目の海外遠征にしてようやく僕は初めてアメリカの大地を踏むに至った。

 

 

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空港からバスで移動し、ホテルにチェックインしたのは午後3時頃だった。
今夜のライブの開演時刻は午後6時半。
急いでシャワーを浴びるとすぐに身支度を整える。
そして午後5時頃に会場である The Hollywood Palladium に到着する。
ブロックをぐるりと半周している、長い行列の最後尾にそそくさと並ぶ。
眼前にいる外国人カップルの瞳に、なんとも言いようのない輝きが、宿っているのを、
尻目にちらちら確認するたび、僕はまた口元に微笑を湛えずにはいられなかった。

 

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2.

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やがて刻限となり入場する。
会場の印象は「思っていたよりも狭い」。天井がそれほど高くないからだろう。
僕は購入したグッズをクロークに預けると、いそいそと所定の位置に移動する。
フロアの中央、やや前目の位置――マイ、ベストポジション。
外国人たちと楽しく激しくモッシュするのは、遠征における無上の喜びの一つである。
“ こっちは小さいから少しは手加減してくれよな ”
僕は周囲に陣取る青い目をした大男たちに無言の目配せをする。

 

 

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HELLYEAH のライブが始まったのは定刻を少し過ぎたあたりだった。
彼らからすれば、自分たちのツアーの合間のスポット参戦となるわけだが、
今宵のBABYMETALのサポートアクトを務めることになった経緯は知る由もない。
どちらかの側から打診があったのか。はたまたライブネーションによるブッキングなのか。
いずれにせよ、アメリカでは格上の HELLYEAR が前座を務めることは恐縮且つ光栄であり、
また、彼らのライブも堪能できることは、渡米する前から純粋に楽しみにしていた。
モッシュサークルモッシュも頻繁に発生し、場内は早くも興奮の坩堝と化している。

 

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おそらくエネルギーの90%は消費したことだろう。
HELLYEAH のライブでは終始もみくちゃとなり、終演時には僕の体力は随分と奪われていた。
しかし、言わずもがな本番はここから。
BABYMETALのライブに没頭し、享楽にどっぷり耽るには、今は体力の回復が何より最優先。
僕は静かに呼吸を整えながらその時が来るのをジッと待つ。
抑えがたい想望が熱い吐息となって何度も口から零れ出る。
ひっきりなしに聞こえるざわつきを意識するたび、僕自身が抱える焦燥の念は、
内側から僕の体をノックし続け、誰ともなしにまだかまだかと騒ぎ立てている。

 

 

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BABYMETALが登場する前から、カルト的崇拝者による熱気が高まっていた。
コスプレ姿が様になっているファンたち。既にキツネサインへと形作られた手。
途中にBABYMETALコールは何度も発生し、その都度、空間の熱量は温度を上げている。
そして暗転し、「BABYMETAL DEATH」のお馴染みのナレーションが場内に流れ始めると、
怒号のような声がこだまし、やがてそれは悲鳴や絶叫のような大歓声へと変わっていった。
僕は圧縮の洗礼を受けながら必死の形相で “ うぉー! ” と叫ぶ。
刹那、昨年のシュツットガルト公演の記憶がぼんやりと脳裏を過ぎった。
それは確かな追憶的風景画だった。
当時の興奮は今なお僕の心の奥底に消し難い反響を残したままでいる。

 

 

 

 

3.

セットリスト

01 BABYMETAL DEATH
02 ヤバッ!
03 ド・キ・ド・キ☆モーニング
04 あわだまフィーバー
05 Amore - 蒼星 -
06 META!メタ太郎
07 Sis.Anger
08 メギツネ
09 ギミチョコ!!
10    KARATE
11 THE ONE
EN
12 From Dusk Till Dawn
13 Road of Resistance

 

 

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BABYMETALが姿を現すなり、さらなる歓声が沸く。
圧縮の波は大きくうねり、老若男女が入り乱れる様はまさにカオス
神バンドが奏でる渾身の六連符。その爆音は耳をつんざく。
初っ端からピットは無法地帯。狂ったように体をぶつけ合っている。

 

誰もがBABYMETALの単独ライブを待ちわびていたのだろう。
参戦回数は人によって差はあるだろうが、目一杯楽しもうという意気込みは誰もが一緒。
フロアにエネルギーが充満したまま曲は「ヤバッ!」へと続いていく。
軽快なリズムに乗り、モッシュピットの混乱はさらにヤバくなっていく。

 

その後の「ド・キ・ド・キ☆モーニング」でも熱狂は続いていた。
モッシュピットに限れば、フリコピよりもモッシュを楽しんでいる人の数が圧倒的に多い。
その傾向は「あわだまフィーバー」でも同じだった。
あわだまダンスをするキツネの姿はちらほら程度。
いや、圧縮やモッシュは未だ続いているから、頭で輪っかを作る余裕がそもそもない。

 

「Amore - 蒼星 -」に入るとようやくピットは落ち着きを取り戻したようだった。
これまでよりもステージを眺め続けている人の割合が増えている。
彼らは間違いなくSU-METALの歌唱に聴き惚れているのだろう。
続く「META!メタ太郎」でも、観客たちはモッシュより一緒に歌うことに集中していた。
キツネたちによる “ お~お~お~お~ ” の合唱が場内に響く。
背の低い女性たちが懸命に右手を伸ばして “ メタ太郎 ” と声を張る姿が愛おしく感じられる。

 

 

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ピットが再びカオスになったのは次の「Sis.Anger」のときだった。
上半身裸の屈強な男が数人、頭と手を振りながら混沌の世界をさらにかき混ぜている。
日本のライブでのモッシュは、ある程度勝手や意識が統一されているから足並みが揃うが、
今夜のライブでは、各々が好き勝手に騒ぎまくっているといった按配だった。
女性の数も多かったが、彼女たちはうまくモッシュを避けながら笑顔で体を揺すっている。

 

 

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ステージの3人が一度袖に引っ込むと、流れてくるのは「メギツネ」のブレイクダウンパート。
3人が着物の衣装で再登場すると、わかっている観客たちは心の準備を始める。
そしていざ曲が始まると、場内はすぐさま大爆発。
“ ソレ! ソレ! ソレ! ソレ!” の掛け声がホール中に響き渡っている。

 

ほぼノンストップで続く、いつものBABYMETALのライブ。
3人はただ単にステージをこなすのではなく、常に観客たちの状況や反応を注視している。
だから華奢な彼女たちが履く踊り靴は、今夜はいっそう身軽く床の上を辷っている。
そうしてまた熱量を帯びたつむじ風が、観客たちの熱狂に用捨なく鞭を加えている。

 

SU-METALの煽りによるメギツネジャンプが場内を揺るがす。
興奮冷めやらぬまま次曲「ギミチョコ!!」が始まる。途端に隣の女性が悲鳴を上げる。
観客たちによるモッシュの勢いは一向に衰える気配はなかった。
終盤になっても観客たちはみな笑顔で踊り狂っている。
そしてその後の「KARATE」では、これまでで最大のモッシュが発生した。
近くにいる誰も彼もが、大きく体を揺らしながら楽しそうにモッシュを続けている。

 

 

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間奏に入り、SU-METALが例によって観客たちに訴える。
流暢な英語で、“ スマホの光を掲げて。もっと多く掲げて私に見せて ” と訴える。
ぐるりと周囲を見渡せば、そこには、得も言われぬ幻想的な世界が広がっていた。
SU-METALの美声が輪をかけるから、その世界はさらに色を濃くしていった。

 

 

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SU-METALのロングトーンで「KARATE」が終わる。
みなが余韻に浸っている中、3人が袖に一旦ハケる。
しばらくして場内に荘厳な「THE ONE」のイントロが流れ出す。
やがて3人がシルバーの衣装を身に纏って現れる。
SU-METALのボーカルは、最初から最後まで成熟した雰囲気と強さを発散していた。
ある者は一緒になって歌い、ある者は肩を組んで揺らし、各々が今この時に心酔している。

 

今夜のライブの本編が終了すると、場内ではたちまちBABYMETALコールが発生。
やがてアンコールの1曲目として「From Dusk Till Dawn」が始まる。
イントロが流れ始めるやたちまち場内は騒然となる。
それもそのはず、なにしろ国内外で初めて生で披露されるのだから。

 

僕が初めて「From Dusk Till Dawn」の音源を聴いた時、真っ先に思いついたのが、
Bring Me the Horizon の「Can You Feel My Heart」だった。好きな曲だ。
しかし生で初めて聴いた「From Dusk Till Dawn」は圧倒的だった。
オリヴァーの渾身のシャウトよりSU-METALのクリアなハイトーンが断然勝った。
神バンドの演奏も、スローでありながら力強く、この上なくグル―ヴィーだった。

 

海外のキツネたちのざわつきが凄い。
3人のダンスは少し大人びていて、BABYMETALの成長を否応なく感じることができる。
そしてキツネたちの叫び声や歓声も凄まじかった。
これも言わずもがな、天井を突き抜けるようなSU-METALのロングトーンに魅せられたからだ。
彼女が “ In the air ” と唄い出すと、キツネたちはみんな息を呑み、それから、
断続的に歓声が、繰り返し押し寄せる波のように、何度もドッと沸いたのだった。
まさに今夜のライブのハイライト。
誰もがこの瞬間に、生涯忘れることのできない感動を胸に刻み付けたのではないだろうか。

 

彼女が歌い上げてフッと息を吐いた時には自然と涙が零れ落ちていた。
知らぬ間に身体が小刻みに震えている。
SU-METALが持つ能力の凄さは分かっていたつもりでいたが、今回、同曲を初めて聴いて、
僕は改めて彼女が持つ無限の可能性を垣間見た。そして大いに感心した。
いつの日かライブ盤の「From Dusk Till Dawn」を聴いてみたいと思う。
「KARATE」のロングトーン同様、彼女の地声を聴くたびに、きっと鳥肌が立つに違いない。

 

場内が騒然さを維持する中、最後の曲、「Road of Resistance」が始まる。
SU-METALの合図のもと、強烈なWODが始まる。が、みんな笑顔のままだ。
これがラストの曲だということはわかっているのだろう。
誰しもが最後の力を振り絞って全力でライブを楽しんでいるようだった。
僕もサークルに参加し、メイトやキツネたちと一緒に過ごす最高の時間を心に刻みつける。

 

恒例のWe are BABYMETALコールで遂にライブが終了する。
鳴り止まない拍手や歓声が、フロントの3人や神バンドに対する賛辞や敬意を表している。
こうして、ロサンゼルス公演は、圧倒的なパフォーマンスを披露して幕を閉じた。
BABYMETALに飢えていた観客たちはひとしきりご満悦のようだった。
誰もが顔を輝かせ、至福の表情を浮かべている。

 

 

 

4.

 

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興奮状態を維持したまま会場を出る。
建物の敷地内、道路脇には無数のキツネたちが屯している。
誰も彼もが上気した顔つきで頬を赤く染めている。
その光景は、否応にも、僕の口元に三度笑みを湛えさす。

 

BABYMETALのショーはいつだって壮観で、場内はとてつもないエネルギーに溢れている。
それをなるべく多く体験したいがために、可能な範囲で、僕は海を渡っている。
けれども、と思う。
海外のキツネたちが喜ぶ姿を見ることも、内心では期待しているのだろう。
笑顔で彼らと体をぶつけ合いながら一緒くたになって騒ぐ行為は極上の愉悦に他ならない。

 

僕は帰途につきながら今夜のライブを振り返る。
神バンドが激しく演奏する最中、フロントの3人は歌い踊り、
観客たちは熱狂を持続させたまま最初から最後まで彼女たちのライブに酔いしれていた。
どんな説明も、その姿を正しく描写する事はできないだろう。
だから自分自身で観てみるのがやはりベストだ。

 

ファンたちの敬愛がバンドの一過性の流行によるものなのか、
はたまた真正であることからくるものかに関わらず、
彼女達は世界的な現象であり、心からの共感を呼ぶ何かを具えている。
それを共有したいがために、今日の会場も多くの人種で溢れかえっていた。
そして世の中でもっとも幻覚性の高いライブ体験の一つへと僕たちは導かれた。

 

BABYMETAL の METAL RESISTANCE の物語は、昨年のエピソード4、
世界中からファンが集まり、THE ONE となった東京ドーム公演を持って終了したが、
彼女たちが自国にやってくるのを首を長くして待ちわびている人たちはまだまだたくさんいる。
だから METAL RESISTANCE の物語に終わりはないのだろう。
世界中にいるファンたちが生で観て笑顔を浮かべるまでそれは続いていくのだろう。

 

BABYMETALはライブでのみ、彼女たちが持つ凄まじいパワーを解き放つ。
そして僕らは、彼女たちが放つエネルギーを全身で浴びることで心が解き放たれる。
たった今終わったばかりのライブを思い返すだけで鳥肌が立ち、身震いがする。
この体験は、間違いなく僕の生きる活力になっている。
そしてまた生きていくために、僕はBABYMETALのライブに通い続けていく。

 

フロントの3人は、久しぶりの単独ライブということもあって、
終始嬉しそうに、楽しそうに、歌い踊っている印象を受けた。
神バンドの演奏は今夜もやはりタイトで、音圧も程よく、ヘドバンをするのに最適だった。
ある程度予測はできていたが、観客たちの盛り上がり方も大変素晴らしいものだった。

 

余談だが、今回は随分とカメラの数が多いといった印象も受けた。
今夜のライブが映像化されるのか、はたまたアニメの実写部で使われるのかはわからない。
ただ今夜の狂騒は、是非とも後日追体験、再体験したいから、
何らかの形で世に映像が出てくることを今から待ちわびよう。
宙に浮くような心持ちのまま、僕は最寄りのホテルまで軽快に闊歩した。
脳裏には、屈託のない笑みを浮かべている3人と観客たちの姿がいつまでも浮かんでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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