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OBSESSED with BABYMETAL

BABYMETALのライブレポートや雑感・考察などのブログ

BABYMETAL 横浜アリーナDAY② ライブレポ

BABYMETALレポ(国内ライブ) BABYMETAL

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※ライブレポ①はこちら

 

1.

日付が変わり、今日は12月13日。
昨日に引き続き、BABYMETALの横浜アリーナ公演が行われる。
サブタイトルは「THE FINAL CHAPTER OF TRILOGY ACT-Ⅱ」
そして今日のライブでは最後に大きな発表があるはずである。
そのことを考えると、朝からワクワクせずにはいられなかった。

 

それにしても全身が痛い。
とくに首の状態が芳しくない。自業自得だろう。
あれだけ全曲とおして激しくヘドバンをやれば誰だって痛める。
僕は入念にストレッチを施してから最寄駅に向かった。

 

横浜アリーナまでは電車と徒歩で約2時間の行程。
2日続けて往復4時間だ。
最初から両日参戦が決まっていれば近場の宿を予約したのだろうけど、
昨日の当日券を購入できたのが一昨日の夜なのだから仕方がない。

 

電車に揺られながら僕は昨日のライブを振り返る。
あのような席で観覧できることは今後はさすがにないだろう。
そしてSSAと横アリの見切れ席がともに神席だったことから、
今後の国内の大箱ライブでは、ギリギリに発売される見切れ席は人気を集めるかもしれない。
もっとも、見切れ席はステージや機材の設営が終わってから余剰部分を席にできるか否か
判断するだろうから、毎回必ず発売されるとは限らないのだけれど。

 

そして、これはあまり大きな声では言えないが、ネットに上がっていた
新曲2曲のBOOTLEG音源を繰り返し聴いてみて、僕は考えを改めなおした。
「KARATE(仮)」の「ウォウォ~ウォウォ~ウォウォ~」を合唱できれば、
確かに会場の一体感を得られるかもしれないが、
「WE ARE THE ONE(仮)」は、それをさらに上の段階で体感できるに違いない。
ミドルテンポで「ララララ~」と異国のメイトたちが合唱する。
想像するだけでぞわぞわと全身が泡立つ感覚がする。
もしかしたらだが、途中にsing-alongを挟んだら、
「Road of Resistance」のそれ以上の感動を呼び起こせるかもしれない。

 

新横浜駅に到着したのは午後15時過ぎだった。
今日は最初から物販ブースに寄ることは考えていなかった。
本当は欲しい物があったのだけれど、早朝から並ぶことは昨夜の時点で諦めていた。
会場までの往復だけで疲れるので、なるべく体力はライブ開始まで温存しておきたい。

 

昨日に続き、うっちーさんと連絡を取り合いながら入場する。
そして昨日と同じ場所で合流。
しばらく話し込んだ後、いざホール内へ。
北スタンドの指定席に着席する。

 

 

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ステージまではかなり遠いが、1列目なので視界は良好。
ピットエリア全体の様子も確認できる。
昨日はステージのほぼ真横の席だったので、音響についてはあまり深くは考えなかったけど、
この位置であればゆっくり「音楽」としても楽しめそうだ。
始まるとそうもいかないのだろうけど、今日は大人しく鑑賞することに比重を置きたいと思う。

 

昨日は周りに目を向ける余裕も時間もなかったのでざっくりとしかわからなかったが、
やはりBABYMETALの客層はどのライブ会場でも幅広い。
とくに今回のようなシート席のある大きな会場ではそれがより顕著に表れる。
隣のご夫婦も僕より年輩のようだし、熟年の方々の姿は会場のいたるところにある。
もちろん若い世代の人も多く、子供の数もかなりいる。
コープスペイントの人もいるが、3人のコスプレ姿の女性はさらにその何十倍もいる。
僕の網膜はカップルは認識できない仕様になっているから、残念ながらそれらの数は分からない。

 

開演時刻が近づいてくるとテンションが自然と上がってきた。
SEで流れるMETALLICAやJudas Priestの曲がさらに気分を盛り上げる。
客電が落ちたのは定刻を10分ほど過ぎたあたりだった。
一斉に総立ちとなる観客たち。
ピットのあちこちからものすごい熱が発せられている。
この始まるまでの胸の高鳴りはいつだって最高だ。
否応なしに気分は昂揚する。
さあ、今宵も年齢・性別関係なく、全員で一丸となって狂喜乱舞し、
ともに歴史的ステージの生き証人となろうではないか。
「METAL RESISTANCE EPISODE Ⅲ」を締めくくる壮大なショーの幕開けだ。

 

 

2.

2日目セトリ

01 BABYMETAL DEATH
02 ギミチョコ!!
03 いいね!
04 あわだまフィーバー
05 Catch me if you can
06 ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
07 ド・キ・ド・キ☆モーニング
– 神バンド -インストゥルメンタル-
08 悪夢の輪舞曲
09 おねだり大作戦
10   新曲 KARATE(仮)
11 チガウ(仮)
12 メギツネ
13 イジメ、ダメ、ゼッタイ
14 ヘドバンギャー!!
15 Road of Resistance

ENCORE
16   新曲 WE ARE THE ONE(仮)

 

昨日の新曲とは打って変わり、定番の曲で2日目がスタート。
「BABYMETAL DEATH」の凶悪なリフが会場のボルテージを一気に引き上げる。
観客たちのほぼ全員が両手を挙げている絵は壮観の一言。
ビジョンで観た限り、3人に気負っている様子はない。
だってそうだろう、これまでに数多の大きなステージを経験してきたのだ、
箱のサイズが今さら彼女たちにプレッシャーを与えることはない。

 

当初の目論見などどこ吹く風、初っ端から声を張り上げては首を振る。
「音」からBABYMETALにハマった僕に、じっと鑑賞するスタイルはやはり無理だった。
間奏のギターソロでヘドバンし、「DEATH! DEATH!」とその場でジャンプを繰り返した。
ピットは早くも狂乱の祭りといった体を成している。
あらゆる場所でモッシュしている様子が目に留まる。

 

続いて「ギミチョコ!!」がスタート。
昨日とは違い、すぐにイントロが始まる。
そして今日もSU-METALの高圧的な煽りが炸裂。「おまえらもっと声出せ!」
その煽りに大きく呼応して叫び声を上げるメイトたち。
だけどその直後、メイトたちは一気に弛緩することになる。
それは3人による最後の煽りが原因だった。
「みんなー、はっじまっるよ~」
はっきりいってこれはズルい。卑怯だ。歯を見せるなと言われても無理だ。
いつもとは違う感情にも浸ったところで曲は「いいね!」へと続いていった。

 

「いいね!」のコール&レスポンスは「よ~こアリッ!」だった。
「ギミチョコ!!」のそれとはすべてが違う。
全身がとろけてしまうような、スペシャルスィートな声だ。
時には叱るように、時には甘えるように。
変幻自在なSU-METALの煽りの振り幅にはいつも完全にやられてしまう。

 

次の「あわだまフィーバー」では、多くの人が頭の上に輪っかを作っていた。
間奏のリフは相変わらず素晴らしい。首が自然と左右に倒れる。
ここに至ってようやく音響のことに意識がいったが、
正直なところ細かい部分までわからなかった。僕にはとくに問題はないように思えた。
音圧レベルは最初から期待していなかったのでこんなもんだろうなという印象だった。

 

続いては「Catch me if you can」。
3人がステージをいったんハケると背後の神々たちにスポットライトが当たる。
昨日は不在だった大村神がとても楽しそうにソロを演奏する。
ブラストビートがドラムロールの役割を果たし、3人を再びステージへと誘う。

 

Slipknotから拝借したリフに頭を揺らし、僕は心底この名曲を堪能する。
ちらりとピットに目をやれば、少なくとも計6つのサークルモッシュを確認できた。
ここからはさすがにわからないが、きっとみな笑顔で回っているのだろう。

 

曲は「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」「ド・キ・ド・キ☆モーニング」と続いた。
どうやら2曲目以降は昨日と同じセットリスト順のようだ。
「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」では大声でコールし、
「ド・キ・ド・キ☆モーニング」では「Ring Ring Ring!」と手を上げる。
きっちりタイミングを計ったように、周りの観客たちも一斉に同じ動作をしていた。

 

神バンドのINSTRUMENTALは、今回は「Mischiefs of metal gods」の方だった。
僕は密かに昨日に続いてNEWバージョンの方を聴きたいと思っていたのだが、
藤岡神のいきなりの高速タッピングにその思いは一気に吹き飛んでしまった。
やはり彼のギターテクニックは素晴らしい。GROOVE感が半端ではない。
さすがはその演奏技術の高さ、特異性から「変態」と形容されるだけのことはある。
4人の神がそれぞれソロパートを変えてきてくれたのは大変喜ばしかった。

 

それから曲は「悪夢の輪舞曲」「おねだり大作戦」と続いたが、
「紅月 -アカツキ-」「4の歌」と入れ替わったこの並びは、
多くの人が予想していたのではないだろうか。
「悪夢の輪舞曲」を凛として歌うSU-METALにはいつだって惚れ惚れする。
成長とともに声は太くなったが、抜けの良さは健在で、ストレートなまま力強くなった歌声は、
ヴォーカリストとしての彼女のレベルを一段上げているように思う。
「おねだり大作戦」ではわずかだが、おねだりマネーが宙を舞う様子を確認することができた。
それを大量生産して前日に配布された方は少しばかり安堵したのではないだろうか。

 

昨日と同じ修造のムービーが流れたあと、新曲「KARATE(仮)」が始まる。
僕は手すりに両手を掛けて身を乗り出し、括目してステージを見つめる。
まだ2回目の披露だから、あらゆる部分を目を凝らして観なければならない。
しっかりと目に焼き付けなければ、記憶として残るかどうかもままならない。

 

首や腕の角度まできれいに揃った3人の振り付けの素晴らしさもさることながら、
改めて聴くと、SU-METALの歌唱が際立っているのがよく分かった。
テンポや歌声に抑揚や強弱を付けるのもそうだが、極め付けはロングトーンの美しさ。
最後の「走れ~」は彼女の持つポテンシャルがかなり引き出されているように感じられた。

 

新曲の披露で会場がざわつく中、曲は「チガウ(仮)」「メギツネ」と畳み掛けてゆく。
この時点で首はかなりヤバい状況だったが、無意識に脳が非情な命令を下す。
「チガウ(仮)」では縦ノリ、「メギツネ」では横ノリで、僕はヘドバンし続ける。
なにも無理にそうしているのではない。感情を素直に表しているだけだ。
それにしても「メギツネ」のビートはいつだって心地よい。眉間の中心が痺れまくっている。

 

「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の冒頭ムービーがビジョンに流れると、
スタンドの観客たちの多くの視線はピットへと注がれていた。
Wall of Deathだ。
同時多発的に起こるそれを高所から眺めるのも一興だろう。
会場全体が1つになって飛ぶダメジャンプは見事なまでの一体感を作り上げていた。

 

雷鳴轟く「ヘドバンギャー!!」のイントロが場内に流れる。
すでに1時間以上ノンストップでライブは続いているが、まだ終わりではない。
「ヘドバン! ヘドバン!」と思い思いの「間」で頭を揺らす観客たち。
大の字ジャンプでも多くの人たちが一緒になってジャンプしていた。

 

曲が終わるとビジョンには「戦国WOD」のムービーが。
「Road of Resistance」のイントロが始まり、3人がフラッグを持って登場すると、
僕は首にかけていたクラッシュロゴフェイスタオルを高々と掲げた。
そして「1! 2! 3! 4!」を合図に、再びピットのあちこちでWall of Deathが起こる。
間奏では頭を激しく振り、ギターの高速タッピングのところで、
僕は人知れずその場でエアギターをかます。
その流れでそのままsing-alongへ。
目尻に涙を溜めたまま、僕は何度も「ウォーウォー」と必死になって声を張った。
そうしなければ命を取られるといった具合に。
感動で胸が打ち震える。
泣き声に近い声は震える。
このサイズの会場での大合唱は圧巻の一言、それに尽きる。

 

曲が終わると会場から大きな歓声と拍手が沸き起こった。
彼女たちが上手、下手と移動し、SU-METALが定番のコールをする。「WE ARE?」
メイトたちはYUIMETALとMOAMETALと一緒になって嬉々として叫ぶ。「BABYMETAL!」
そしてステージ中央に戻る3人。
が、そこで最後を締めることはせず、3人が舞台セットの2階へ上がっていく。
そしてそこには、気づかないうちに銅鑼が用意されている。
最後の「BABYMETAL!」コールを行うと、SU-METALが勇ましく銅鑼の音を鳴らした。

 

なるほど、これにて「METAL RESISTANCE EPISODE Ⅲ」は終焉ということか。
僕は首肯しながら過去に思考を巡らす。
「EPISODE Ⅰ」では武道館、「EPISODE Ⅱ」ではニューヨークとロンドンで、
それぞれのEPISODEの終焉儀式を行った。
そして過去の2回では、そのあとに続きがあった。
“終わりがあれば始まりがある”
今回も続きがあるだろう、その期待を胸に、僕は「アンコール!」と叫び続けた。

 

しばらくしてからビジョンにムービーが流れ出した。
前夜のライブの最初に流れた映像だ。
“メタルの魂は、永遠の光となり、BABYMETALを輝かせる”
染谷歩のナレーションに沸く観客たち。
誰もがみんな瞳を輝かせてビジョンに注目している。
新曲「WE ARE THE ONE(仮)」の美しいイントロのギターの旋律が奏でられると、
ホールは今日イチの大きな歓声で沸き上がった。
そんな中、僕はあるところに視線を向ける。
真ん中の巨大スフィンクス像のキツネ面、さらにその上の部分に。

 

昨日の公演も見ているから、彼女たちがゴンドラで登場することは予測できていた。
そして予想どおり、三角錐のゴンドラに乗って彼女たちは現れた。
しかしそこで、僕はいい意味で裏切られることになる。
遠い位置からなので正確にはわからなかったが、ゴンドラはなんと降下せず、
ステージとピットのAブロックの中間あたりで静止したのだった。
えっ、どうしたの? なんかあったの? と戸惑う中、
空中にいるSU-METALがしっとりと唄い始める。
「新春キツネ祭り」で、宙に浮かんだ橋の上から「悪夢の輪舞曲」を唄ったことはあるが、
こちらのほうがそう断言するには的確だろう。
いつか空の上で唄ってみたいと語っていた彼女の夢が実現した瞬間だった。
その演出には僕だけではなく、会場中すべての人が驚いたのではないだろうか。

 

僕は1点を注視したまま彼女の澄んだ歌声に耳を澄ます。

 

“時を超えて 僕らは行く 眩い光の中へ”
“僕らの声 僕らの夢 僕らのあの場所へ”

 

瞳にうっすら涙が滲む。
なんなんだこれは……。

 

自分でもよくわからない感情の渦に身を沈めていた。
空中で唄う幻想的な景色が思考を若干歪曲させているのかもしれないが、
そんな演出を差し引いても、感動で身震いするほどに、
このSU-METALの歌唱は突き抜けている。
なんだよこれは。なんなんだよこれは……。
僕は必死に涙を堪える。
昨日聴いたものよりも遥かによく聴こえる。
隣にうっちーさんがいなかったら間違いなく号泣していただろう。
僕はその場で立ち尽くしたままSU-METALのクリアで力強い歌声に深く心酔した。

 

そして間奏のところになると、ゴンドラがゆっくりと動き出した。
ようやく降りるのかなと思ったのも束の間、ゴンドラはそのままピット方面へ。
すぐに天井を見やると、ゴンドラを吊っているロープの先にレールを確認できた。
そしてそのレールはホールを一周できる形状になっている。
とそこで、僕はようやく、感情が落ち着いて腑に落ちる。
ああ、ゴンドラで浮遊したまま一周するのか!
まったく予想外の展開。
ほとんどの人たちが驚嘆と歓喜が混じったような表情をしている。
きっとこれも舞台演出家の肩書も持つMIKIKO-METALの成した業なのだろう。
どこからかこの場面を覗きながら、彼女はしたり顔をしているかもしれない。

 

気がつけば会場中が「ララララ~ ララ~ラ ラララララ~」の大合唱。
それは彼女たちを乗せたゴンドラが元の位置へ帰っていくまで続いた。
すぐには言葉が出ない。
感動的なクライマックスだった。
昨日のライブもすごかったが、今日のはそれを遥かに凌駕した。
やはりBABYMETALのライブは常に最新が最高。
このような素晴らしいショーを見せてくれたチームBABYMETALには、
いつまでも心に崇敬の念を抱かずにはいられない。
僕は去ってゆく神バンドの面々に拍手を送りながら、
内心でありがとうと繰り返し謝意を述べた。

 

そして遂にビジョンで大々的な告知が始まる。
輝かしく光る「4th IMPACT」の文字。
続いて「METAL RESISTANCE EPISODE Ⅳ」の始まりが告げられると、
ひときわ大きな歓声が会場中からあがった。
そしてその後に一瞬失笑が漏れる。
それは「E.T.」をオマージュした映像だったからだ。
しかし内容は見逃せない。
4月1日、「FOX DAY」とある。
“この日に、BABYMETALはキツネ様から新たなお告げを授かるのだ”
僕は息を潜めて続きを見守る。
そして燦然と輝く光の輪の中に「NEW ALBUM」の文字が。
その下には「WORLDWIDE RELEASE」とある。
えっ、ニューアルバム? ついにセカンド発売? しかも世界同時リリース!?
頭の中が情報過多になって処理できない。
パニック寸前だった。
古いCPUを積んでいる自分の脳を呪う。
だけどまだまだこれでもかと一気に情報は溢れ出てくる。
4月2日、聖地イギリス「ウェンブリーアリーナ」ときて、
「BABYMETAL WORLD TOUR 2016 -聖地巡礼-」と続く。
え、ちょちょちょ待って。お願い。ゆっくり公表して。
しかし僕の願いも虚しく、さらに告知は続いた。
「ここ日本で最終公演・史上最大のメタルレジスタンスを行う」
「歴史は繰り返される。あの日、あの時、あの場所で……」
この瞬間、「えっ、また武道館!?」と戸惑ったのはきっと僕だけではないはずだ。
しかしそれはすぐに杞憂だとわかる。
日本地図が映り、しばし溜めてから宣言発表されたその場所は東京ドーム。
多くの方と同じように、その場所はあらかじめ予想していたけど、
いざ正式に発表されると、身震いするほどの強い衝撃を受けた。
周りの方たちもそれは同じだったようだ。
ざわめきは止むことを知らない。
気が付けば僕の両腕には鳥肌が立っていた。

 

――ついに来たか。

 

僕は虚脱と充実・多幸感といった相反する感情を同時に抱え込んだまま、
うっちーさんと一緒に階段を上ってホールを後にした。
なぜすぐに歓喜せずに虚脱を感じたのか、それは、
あまりのスケール感に思考がすぐには追い付かなかったからにほかならなかった。

 

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3.

BABYMETALの3人は、生のライブを通じてまだまだ発展途上にある。
今後はさらにステージングそのものが良くなっていくだろう。

 

レディングレポの結の部で、僕はそのような感想を書いた。
しかしそれはあまりに抽象的で、漠然とした感想に過ぎなかった。
けれど今回の横浜アリーナのライブを2日間通して観て、僕はハッキリと断言できる。
BABYMETALのライブショーは確実に新たなステージ(段階)へと進んだのだと。

 

それは煽りも含めたステージング自体が進化したとか、
彼女たちの魅せるダンスのキレやシンクロ度が増したとか、
SU-METALのヴォーカルレベルがさらに向上したとか、
さらには楽曲の多様性などを端的に指すものではない。
新たな音楽シーンを自分たちの手で切り開いていくんだという決意のもと、
三位一体となってさらなる高みを目指して登りつめていこうという気概を、
新しい衣装を身に纏った3人からひしひしと感じた、熱くて感動的なライブだったのだ。
彼女たちが新たなステージ(段階)へ進んだと思える確証を言葉で言い表しなさいと言われれば、
平々凡々たる僕には、それは「すべてをひっくるめて凄みが増した」と形容することしかできない。

 

僕は少しばかり彼女たちの立場になって考えてみる。
あれだけの大観衆の期待に端を発した「熱」を受け止めるのは相当なプレッシャーだろう。
ふつうのミドルティーンの女の子であれば、
きっと熱気の圧に押されて立っているのもままならないのではないだろうか。
だけど彼女たちは、いつもと同じように、すべての「熱」を受け止め、そしてそれに打ち勝った。
やはり彼女たちは叩き上げのプロ、それもプロ中のプロだ。

 

館内の通路を歩いている時も周りはざわついていた。
すさまじかったライブの余韻がまだ残っているからだろう。
だけどそのざわつきがそれだけじゃないことに気付いたのはそれからすぐのことだった。
至る所で、会場内でBABYMETALの2ndアルバムの予約ができるとアナウンスしていた。
しかも先行予約をすれば特典が付くらしい。
さらに2日前にはタワレコ渋谷店でフラゲできるとのこと。
これはすぐに予約しなければと、僕とうっちーさんは急いで1階まで下りて行った。

 

 

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※先行予約特典の下敷き(A4サイズ)

 

支払いを終え、CD引換券を受け取り、揃って外に出る。
僕は帰りに物販ブースに立ち寄る予定だったから、
そのまま帰途に就くうっちーさんとはここで別れることに。
再会を約束し、笑顔で両者手を振る。
今夜の歴史的ライブを観れたのは彼のお陰だ。
言葉では言い表せないほど心から感謝している。

 

物販ブースに寄ってはみたものの、期待していたTシャツまですべて売り切れていたので、
僕は一度正面に戻り、入口ゲートをしばし眺めた。
絶対に今夜のことは忘れないよ、そんな思いを胸に。

 

駅まで歩き、帰りの電車の時間を確かめる。
体はひどく疲れているが、とても心地良い気分だ。
僕は電車に揺られながら今夜のライブを振り返ろうとする。
でもその前に思い出されたのは、とあるインタビューを受けている彼女たちの姿だった。

 

“私たちの目標は、「BABYMETAL」という新しいジャンルを作っていくことです”
“いつまでもオンリーワンの存在でいたいと思っています”

 

それは彼女たちが常々口にしている台詞だった。
最初の頃は周りの意思を代弁していた部分もあったかもしれないが、
それは今や、彼女たちが描く明瞭な目標となっている。
この2日間のステージは、まさに彼女たちの言葉が具現化されたステージだった。
メタルでもない。ロックでもない。ポップでもない。
“ これが「BABYMETAL」という新しいジャンルの音楽です”
それに対する本気度を、3人はステージ上で示してくれたのだ。

 

「ジャンルの壁を越えて」と言ったり書いたりするのは簡単だけど、
実際にそれを「音化」「表現化」するのはどれほど難しいことか。
だからこそ、その壁に全霊でぶち当たったり、蹴り上げたりする試みは、
誰からも深くリスペクトされる。それだけでチームBABYMETALは称賛に値する。

 

彼女たちのカリスマ性、ビジュアルの良さ、きれいに揃ったダンスルーティン、
YUIMETALとMOAMETALの掛け声に連動するSU-METALのパワフルな歌唱、
そして神バンドのラウドなのにタイトな演奏パフォーマンスは、
パイロやレーザー、白煙などの演出効果とうまく溶け合い、
感動的で迫力ある生のサウンドに裏打ちされたBABYMETALのショーを
いつだって劇場型のスペクタクルへと変貌させる。
強引に括ってしまえば、それらが「BABYMETAL」というジャンルを形成するコアなのだろう。
今日もそうだったが、観客たちはそれに大いに魅了されずにはいられない。

 

演者とオーディエンスが一緒になって協力して創り上げていかなければ
最高のライブは生まれないものだけど、BABYMETALには、
献身的で、等しい情熱を持つ、幅広い客層がついているから、いつだって最高のライブになる。
世代性別関係なく、メイトたち各々の人生の中で今もっとも楽しいことがBABYMETALのライブ、
もしかしたらそう思っている人が多いから、自発的に熱狂が生み出されているのかもしれない。

 

IRON MAIDENのライブセットをオマージュした巨大スフィンクス像にも驚いたが、
その上から、漆黒のマントに身を包んだ可憐な3人の少女がゴンドラで降りてきたところで、
一瞬のうちにBABYMETALの世界観に引き込まれてしまった。
今夜のライブ映像がパッケージとしていつ海外で発売されるのかはわからないが、
それを観た海外メイトたちは、間違いなくアリーナクラスの会場でショーを観たいと思うだろう。
その前に来年4月にウェンブリー・アリーナでライブがあるが、
前日がNEW ALBUMの発売日だからほぼ間違いなくショーは成功するだろう。
そしてその2ndアルバムは、「WE ARE THE ONE(仮)」が牽引し、世界的にヒットするに違いない。
それは個人的な願望ではなく、あくまで原因があっての結果、その必然性によって引き起こされる。
陽の光が当たれば石が暖まるといった、いわゆる「因果的必然性」がもたらす結果だ。

 

BABYMETALの魅力を語るには千言万語のことばでは足りず、かといって警句を吐くことは難しい。
MHのアレックスが言うように、結局はライブを実際に生で観るしか理解する方法はないのだろう。

 

前述のレディングレポに、僕はそうも記した。
そして、当のMETAL HAMMERのAlexander Milas編集長、通称“アレックス”は、
SSAの「新春キツネ祭り」に続き、今回のライブも関係者席で観覧していた。
実際に生で観るしか理解する方法はない、確かに本質を見極めるにはそうなのかもしれないが、
それを文字に起こして“生を観たことがない人”に少しでも理解してもらうのは貴殿の務めだろう。
ウェンブリー・アリーナのチケットは残り僅かな状況だけど、今からだってまだ間に合う。
だから早く帰国し、職権を乱用してできうる限りの紙面を割き、METAL HAMMERの最新号で、
貴殿はBABYMETALの魅力を思う存分、全世界の購買者たちに伝えていく必要がある。
なぜならばそれは、METAL RESISTANCEに片足を突っ込み、
すでに運命共同体である貴殿、ひいてはMETAL HAMMERにとって崇高な使命であるのだから。

 

関係者席で思い出したが、さくら学院の生徒たちもBABYMETALのライブを観に来ていたようだ。
そういえばゴンドラがピット方面へ動き出したとき、SU-METALは、
関係者席に向かって微笑んでいたように僕の目には映った。
彼女が力強く歌う「僕らの夢」、それには、さくら学院の生徒たちの夢も乗っかっている。
なぜならBABYMETALの3人が見つめる世界は、さくら学院が標榜する、
真のスーパーレディたちにしか見えない景色へと繋がっているのだから。

 

様々なことに思いを寄せているといつの間にやら家の付近まで来ていた。
最寄り駅で電車を降り、僕は家路につく。
その途中、ふと思いついた。
そうだ、BABYMETALは発明品だ。
それがどんな音楽のジャンルなのかとか、どんなスタイルなのかなんてことは関係ない。
人生に新たな楽しみをもたらす、新時代のエンターテインメントなのだ。
そして僕はそれを貪るようにこれからも堪能し続ける。
来年以降の彼女たちのさらなる活躍を心から祈りながら。

 

 

僕は途中で足を止めると、行きつけのマッサージ店に立ち寄った。
2日続けての観戦で疲れを感じていたからだ。
モッシュはしてないとはいえ、全身に強い張りを感じている。とくに首がひどい。
自重しようと思っていたのに結局今日もヘドバンしまくったから自業自得ではあるのだけれど。

 

入店するなり、顔馴染みの男性施術師が声をかけてきた。
「今日はどちらかに出かけられたんですか?」

 

僕は逡巡したのち、「ええ、イスカンダルまでちょっと」とボケる。
数日前のエステ店でのリベンジを、不意に果たしたいと思ったからだ。
しかし今回もスベった。かなり寒い。
バカ上司が未だに手袋を反対から言わせようとするのと同じくらいの寒さだった。

 

だけどこういった逆境には慣れている。
そして僕はちゃんと反省もしている。
今のはネタが古くて失敗だったが、ちゃんと流行りのネタなら今回はスベらないはずだ。
ベッドに横になり、施術師から話しかけられるたび、僕は鼻息を荒くして答えた。

 

「このあとは家に帰られるんですか?」と訊かれたので
「金星探査機あかつきと交信するためまっすぐ帰ります」と答えてみた。
結果、今回もスベってしまったが僕がスベったんじゃない。
あかつきがスベったんだ!

 

「ご趣味とかあるんですか?」と訊かれたので
「骨の着ぐるみを着ることです」と答えてみた。
結果、今回もスベってしまったが僕がスベったんじゃない。
BABYBONEがスベったんだ!

 

この流れで「どんな音楽が好きですか?」と訊かれたので
ここは正直に「BABYMETALです」と答えてみた。
結果、よくわからないといった表情をされたが悪いのは君じゃない。
悪いのはお上の人たちだ!

 

マッサージが終わったところでお礼代わりに「ララララ~!」って叫んでやった。
しかし反応がない。だから僕は続けて「セイヤッ! ソイヤッ!」と何度か叫んでみた。
結果、「喧嘩売ってるんですか?」と凄まれたので、僕は速攻で平謝りした。

 

本当は分かってるんだ。
認めたくないから、つい周りのせいにしていただけなんだ。
いつだって悪いのはこの僕なのだ。