OBSESSED with BABYMETAL

BABYMETALのライブレポートや雑感・考察などのブログ

BABYMETAL サマソニ2016大阪 ライブレポ

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1.

フェスにやって着た、と実感したのは、リストバンド交換所へ着いた時でもなく、
ましてや広い会場をくまなく歩き回っている時でもなかった。
地下鉄阿波座駅で中央線に乗り換えた途端、僕はそれを否応なく実感することになる。
そこからはギュウギュウ詰めの満員電車に押し込められ、最寄駅まで電車に揺られたのだけれど、
中央線の最終駅であるコスモスクエア駅に着くまで、その状況に変化は見られなかった。
とどのつまり、車両はすべて、フェスに向かう人たちで溢れ返っていたのである。
僕はフェス行きの電車の中で一足早く圧縮の洗礼を受けたのだった。

 

今年もついにやってきた「SUMMER SONIC」。
過去、サマソニには何度か足を運んでいるが、大阪の会場に来たのは今回が初だった。
理由はもちろん、BABYMETALが「SUMMER SONIC 大阪」のみの出演となったから。
日本でのライブ本数は限られているから、一日券を購入するのに一切の躊躇はなかった。
大阪市内のビジネスホテルを連泊で予約するのも同様だった。

 

そのBABYMETAL自身は、サマソニには5年連続での出演。
昨年の東京MOUNTAIN STAGE(キャパ2万)で入場規制となったのは記憶の新しいところである。
そんな集客力のあるBABYMETALが、なぜ今年は大阪のみの出演となったのか。
その理由は知る由もないが、SONIC STAGE(大阪の会場は舞洲アリーナ)での出演は、
東京でも大阪でも、ラウド系のバンドが集まっていたのである程度規定路線だったのだろう。
ヘッドライナーに抜擢されたのは、過去2年の動員数の実績が考慮されたからなのかもしれない。
(ちなみに昨年はMOUNTAIN STAGEにラウド系のバンドは集められていた)

 

 

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最寄駅を出るなり、真夏の太陽が、まさに熱烈歓迎といった具合で僕を出迎えてくれた。
予報どおり、今日も一日大阪は暑くなりそうだ。
人の流れに着いていくとやがてバスチケットの購入窓口が見えてきた。
そこで往復のバスチケット代1000円を払う。
不安があったので係員に訊ねたところ、フェス会場を出る最終のバスは23時とのこと。
昨夜は途中にバスが来なくなり帰れなくなった人が続出したそうだが、果たして今日は――。

 

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その後、15分ほどバスに揺られると、舞洲サマーソニック大阪特設会場に到着した。
早速1日券とリストバンドを交換し、入場する。
すぐ目の前にはSONIC STAGEの会場である舞洲アリーナがある。
TLで確認していたとおり、すでにかなりの人数が行列を作っている。

 

 

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ざっと見たところ、列を作っているのは中年男性と若い女性だった。
ともに赤黒を基調とする服装やグッズを身に纏っているので遠目からでは分別が付かなかったが、
男性のほとんどはメイトで、女性のほとんどはAcid Black Cherryのファン(Team ABC)のようだ。
僕はその列を横目に見ながら、まるで何かに誘われるように、会場の奥へと進んでいった。

 

 

 

2.

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時刻は午前10時過ぎ。
朝ご飯を食べていなかった僕は、まずは腹ごしらえとばかりにフェス飯を堪能することにした。
PARK OASISにて、ドイツソーセージ、チーズしいたけ、たこ焼きを続けて食す。
お腹を満たすと、僕はメインステージであるOCEAN STAGEへ向かって歩き出した。
どこからともなく元気の良い音楽が流れてきたのはそこへ向かう途中のことだった。

 

 

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FOREST STAGEでライブを行っていたのはKANSAI IDOL LEAGUEというグループ。
よく知らないが、SO.ON project、on and Go!、ミライスカートの3組から成るユニットらしい。
約1ヶ月前に、FOREST STAGEのオープニングアクトを務めることが決まったようだ。
その彼女たちのステージを少しばかり遠巻きに眺めた後、僕は先を急いだ。

 

 

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OCEAN STAGEへ向かうには、途中FOREST OASISとSEA SIDE OASISを通っていくことになる。
少し歩くと、FOREST OASISの手前にあるAQUA ART AREAに差し掛かった。
そこには、BABYMETALのTシャツデザインでお馴染みの、
江川敏弘氏制作による未完成のライブドローイング(製図)があったのだけれど、
今は休憩中なのか、あいにく本人は不在だった。
僕はそれを記念にカメラに収めるとFOREST OASISに向かった。

 

 

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FOREST OASISに着いた途端、強烈に夏を感じた。
太陽が眩しく、夏フェスにやって来たことを実感した。
奥に覗く大阪湾の海面がキラキラと直射日光を反射させている。
広場の端にはDJブースがあり、夏に似合う陽気な音楽を流し続けている。
中央にはサマソニの文字をあしらったオブジェが鎮座し、撮影したい人たちが列を成している。

 

 

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舞洲エリア最南端の海側遊歩道に沿って真っ直ぐ進んでいく。
海側から吹き抜けてくる風がとても心地よい。
しばらく歩くとOCEAN STAGEのゲートが見えてきた。
さらに進んで行くとSEA SIDE OASISに到着した。
その横にあるのが、大阪湾を一望できる、舞洲エリア最西端に位置するOCEAN STAGEだ。

 

 

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やがて11時となり、オープニングアクトであるLittle Glee Monsterのライブが始まった。
ステージを観るのは初めてだったが、女性ボーカルグループなだけあって歌唱力は高い。
彼女たちのライブは30分ほどで終了となった。
僕は会場を後にすると、暑いのでカキ氷を食べながら別のステージへ移動した。

 

 

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途中、AQUA ART AREAを通ると、ちょうど江川氏(座っている方)が絵を描いている最中だった。
彼がデザインしたBABYMETALのTシャツを好んで着ている僕は、短い挨拶を済ませると、
彼の作業の邪魔にならないように気を配りながら、脇から写真を撮らせていただいた。
後にTLで確認したライブドローイング完成図は素晴らしい出来栄えだった。

 

 

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MOUNTAIN STAGEへ着くと、そこでしばらくの間RAT BOYのアゲアゲのライブを楽しんだ。
そして途中に会場を抜けると、僕は急ぎ足でFOREST STAGEへ向かった。
目当てはマーティ・フリードマン、そして神バンドの大神様こと大村孝佳だった。
会場では多種多様なBABYMETALのTシャツを着た多くのメイトの姿が目に留まった。

 

 

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定刻となり、ライブが始まると、場内からは大きな歓声が上がった。
1発目の曲は「天城超え」をHR調にアレンジしたものだった。
五弦ベースを操る紅一点、清(きよし)の激しい演奏が、観客たちをさらに熱狂の渦に巻き込む。
ドラムのCHARGEEEEEEのスティック捌きは荒々しさがあり、場の空気は一気に熱を帯びる。
マーティ・フリードマンと大村孝佳によるツインギターは必見の価値あり。
泣きに泣きまくるマーティのギターソロは最高に痺れた。

 

 

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その後は再びMOUNTAIN STAGEへ行き、少しばかりflumpoolのライブを観る。
途中に会場を抜けると、BILLY TALENTを観にSONIC STAGEへ。
アリーナで騒ぎたい衝動に駆られたが、ここまで屋外を歩き回って日に曝され続けていたので、
僕は小休憩がてらスタンド席からライブを堪能することにした。
ライブ終盤、アリーナ中央では小さなサークルモッシュが発生していた。

 

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BILLY TALENTのライブが終わると、僕は座ったままタイムテーブルを眺める。
おそらくSU-METALが観に行くであろうPENTATONIXを観に行くべきかどうか少しばかり悩む。
しかしSONIC STAGEとOCEAN STAGEを往復すると優に40分は超えるので結局断念することに。
同じ場所でそのまま次のAcid Black Cherryのライブを観賞することにした。

 

 

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恐縮ながら、僕はAcid Black Cherryに関してまったくの予備知識がなかった。
だからTLでギターはLedaという情報を目にした時には大層驚いた。
そしてそれ以上に驚いたのは、バンギャたちの規律の取れたヘドバンだった。
最前から中央あたりまでの折りたたみヘドバンはまるでマキシマム ザ ホルモンのライブのよう。
スタンド席前方にも髪を振り乱す若い女性が随分多く陣取っていた。

 

楽曲自体、悪くはなかった。
だから僕は座ったまま軽くヘドバンを続けた。
そうして盛況ののちにAcid Black Cherryのライブは終わったのだけれど、
ふと感想をツイートしたところ、2週間前のROCK IN JAPANのUVERworldの時と同じように、
随分と多くのファン(Team ABC)の方たちにRTされ、ファボをもらった。
やはり初見の人が良い反応を示すとファンとしては嬉しいようだ。
それはBABYMETALにも当てはまるので、状況を確認していくうちに次第と温かい気持ちになった。

 

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Team ABCの方々が一気に退散すると、たちまちアリーナは閑散となった。
4分の3ほどのスペースがぽっかりと空いた状態となっている。
元からTeam ABCの人たちがハケるタイミングでアリーナに入場しようと考えていたけど、
この状況であれば、随分と余裕を持ってアリーナに入ることができるようだった。
だから僕は一度外に出るとからあげ丼を食べ、フェスのラストまで持つエネルギーを蓄えた。
そして次のANDY BLACKのライブが始まるタイミングでアリーナ上手側に入場した。

 

 

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Black Veil Bridesのフロントマンを務めるAndy Biersack。
その彼によるソロプロジェクトがこのANDY BLACKである。
そして彼の音楽、ラウド・エモ系のサウンドを聴いていると、ふと嬉しく思うことがあった。
それはドラムの重低音。
スタンドにいる時は感じなかったが、ドラムの音量だけ上げているのか、
床から直接心臓を叩き上げるように、随分とバスドラの音が体に響いた。
ステージ左右のスピーカーはそれほど大きくはないが音圧はそれなりにある。
そしてその事象は、この後のラスト3組のライブパフォーマンスに大きな期待を抱かせたのだった。

 

 

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次のAt The Drive-Inのライブは、下手側に移動して鑑賞した。
この位置でもドラムの音はかなり重く響いている。
そしてAt The Drive-Inのファンの方たちと一緒になって騒いだ。
聞き覚えのある曲では、僕も一緒になって大声でコールしたりしたのだが、
ヴォーカルのセドリック・ビクスラーに対して「痩せた」という声が多かったのには失笑した。
激しいサウンドにだいぶ会場は温まってきてはいるものの、
盛り上がっている客の数は半分にも至っていない。
おそらくはほとんどの人が初見なのだろう、随分と地蔵が多いといった印象を受けた。

 

 

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そしていよいよ、BABYMETALの次に楽しみにしていたBullet for My Valentineが登場してきた。
彼らのステージングは圧巻の一言。1曲目の「No Way Out」から場内がスパークしている。
中盤のドラムソロ(5分以上あっただろうか)はあまりに凶悪で、
アリーナの床は、爆撃機による無差別絨毯攻撃を受けているかのように幾度となく震えていた。
その直後の「Scream Aim Fire」では高速サークルモッシュが発生したので僕もそれに参加した。
そして最後の「Waking The Demon」までピットは狂ったように盛り上がったのだった。

 

実のところ、Bullet for My Valentineのライブを観るのは今回が初めてだった。
4月の新木場のライブチケットは購入していたのだが、直前になって急に行けなくなった。
だから彼らのライブは心底楽しみにしていたのだけれど、
生で観た彼らのステージは想像以上にヘビーで圧倒的だった。
Asking Alexandriaよりも重く激しく、Hatebreetなみの破壊力がある。
僕は全曲通してヘドバンを続け、彼らのサウンドを骨の髄まで堪能した。

 

Bullet for My Valentineのライブが終わってもまだ熱気が館内に充満している。
僕はPA卓付近まで下がると、BABYMETALのライブが始まるまで体力の回復に努めた。
周囲では客の入れ替えが行われているが、後方のスペースは終始余裕がある。
やはり裏でライブを行うUNDERWORLDやTHE OFFSPRINGが強烈だからだろう。
BABYMETALを観たことがない人たちの多くは他のステージを観に行っているようだった。

 

 

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やがて神バンドが登場してきてサウンドチェックを始めると、一気に館内が沸き上がった。
驚いたのは、ギターの神が大村神ではなく、白ミサの大阪2日目に続いてLeda神だったこと。
2人とも別のバンドで今日は演奏を行っているから、あらかじめそう決まっていたのかもしれない。
藤岡神とLeda神のセットは、おそらくは一昨年7月のロンドンフォーラム以来ではないだろうか。

 

僕はPA卓の少し前あたりに位置取り、そこでライブを楽しむことにした。
音楽に乗ってヘドバンするだけでも満足できるから、その位置で何ら問題はなかった。
周りを見ると、メイトよりも初見らしき人たちの割合が高かった。
彼らがどういった反応を示すのか、それは過去の経験則からある程度予測はできるのだが、
いつ見てもそれは興味深いものだから、今回も周りのリアクションも楽しむこととしよう。
僕は昂ぶっていく興奮を抑えながら、大トリのBABYMETALの開演を待ちわびたのだった。

 

 

 

3.

セトリ

01. BABYMETAL DEATH
02. ギミチョコ!!
03. あわだまフィーバー
04. Catch me if you can
05. META!メタ太郎
06. メギツネ
07. KARATE
08. Road of Resistance

EN. イジメ、ダメ、ゼッタイ

 

1つ前のBullet for My Valentineの爆音は凄まじかったが、神バンドの演奏も負けてはいない。
ギター、ベース、ドラムが渾然一体となってリズムを刻む6連符は比類なき迫力がある。
フロントの3人娘がステージに姿を現すと、場内のあちこちから大きな歓声が上がった。
視界に映るほとんどの人が「DEATH! DEATH!」と手を上げ声を張っている。
左右にいる初見らしき若い人たちもまた、見よう見まねで懸命に手を上げていた。

 

今日はこの後方の位置でライブを楽しむことにしよう。
ほんの少し前に決めていたその思惑は、
1曲目の「BABYMETAL DEATH」の間奏に入るところで脆くも崩れ去った。
ギターソロが始まるや否や、僕は我慢できずに下手側の前の方に移動していくと、
すでに発生しているサークルモッシュの中に嬉々として身を投じた。
そしてもみくちゃになってモッシュピットを堪能した。
激しく点滅するライトが観客たちの熱狂を持続的に引き上げている。
広い会場のフェスでしか味わえない興奮を、僕は存分に味わい尽くそうと気持ちを切り替えた。

 

続いて「ギミチョコ!!」冒頭のノイズ音が聴こえてくるとさらなる歓声が上がった。
けれどその直後、周囲の喧騒とは裏腹に、僕は少しばかり醒めてしまうことになる。
通常モッシュの類いは、ライブが盛り上がっていくにつれて自然に発生していくものだが、
ことBABYMETALのライブにおいては、最初からそれありきのピットになる傾向がある。
とはいえ、それを楽しみにライブに参戦している人がいることは承知しているから、
それ自体に異議を唱えるつもりはさらさらないのだけれど、それでも、
「ギミチョコ!!」のイントロが始まると同時に発生したサークルモッシュは、
僕には違和感ありありで、苦笑せざるを得ない心境となった。
え、もう回るの? モッシュじゃなくて? ついそんな目で見てしまった。
とはいっても、ぐるぐる回っている人たちはみな楽しそうにしていたから、
僕は笑みを取り戻すと円の外から彼らとハイタッチを交わし続けた。

 

SU-METALの“ クラップ ユア ハンド ”の掛け声を合図に手拍子する観客たち。
大盛り上がりの中、やがて「ギミチョコ!!」は終了した。
ふとスタンドの方を見ると、ほとんどの客が立っているようだ。
既視感を覚えたのはその時だった。
僕はこれに近い光景をだいぶ前に見た記憶があった。
少ししてから思い出されたのは、一昨年9月の幕張イベントホールにおける2DAYSライブ。
追加公演となった初日はアリーナで参戦したのだが、会場全体がその時の雰囲気と酷似していた。

 

3曲目の「あわだまフィーバー」では、
頭上で輪っかを作る“ あわだまダンス ”が会場中を席巻した。
それはとても壮観だったのだが、それよりも印象的だったのが、
SU-METALが“ Ah Yeah! ”と唄うところの“ Yeah! ”に合わせた一斉ジャンプ。
ジャンプをしていた人の数は“ あわだまダンス ”を踊っていた人の数とほぼ同じだった。
さすがに最前付近の人たちは圧縮によりジャンプをするのは無理だろうが、この曲のこの箇所で、
これほどまでにアリーナが一体となってジャンプしているのは記憶になかった。
ふとウェンブリーアリーナでもこの光景が見たかったなと思ったが、
当時、海外のライブでは初披露だったので、さすがにそれは無理という話である。

 

そしてこの“ Ah Yeah! ”に差し掛かる直前では、
SU-METALがよく“ 一緒に ”や“ 唄って ”“ もっと ”といったコールをするのだが、
いつもの最後の“ いいね ”のところは、僕には“ ええやん ”というふうに聞こえた。
おそらく僕の聞き間違えだとは思うけれど。

 

アッパーチューンの曲が続いたことで場内は随分と熱気に溢れている。
3人が袖にハケるとお待ちかね、神バンドによるショータイムの始まりだ。
藤岡神、Leda神がテクニカルなソロを続けざまに披露する。
BOH神がお決まりの速弾きを決めれば、青山神は怒涛のブラストビートで観客たちを魅了した。
そして観客のボルテージが一段上がったところで元気よく3人がステージに舞い戻ってきた。

 

この時の場内の興奮度はそれはもう凄まじかった。
“ ハイ! ハイ! ”コールは館内に大きくこだまし、観衆が突き上げる拳は力強い。
盛り上がり度数を更新しながら曲が始まると、近くですぐにサークルモッシュが発生した。
走るスピードはこれまでのものよりも幾分早く、見た目の大きさもこれまでで一番だった。

 

僕は気持ちよく渾身のヘドバンを繰り出し続ける。
途中、3人による客煽りが始まる。
SU-METALは英語で「ウェーブをやろう」というようなことを言っていたが、
すぐにYUIMETALとMOAMETALの2人が可愛らしい声の日本語でレクチャーし始めた。
白ミサで体験済みのメイトたちが率先してウェーブを開始する。
アリーナ、そしてスタンドの順にそれは行われた。
3人の意図が会場のすべての人にはっきりと伝わりきらなかったので、
ウェーブ自体は若干不恰好なものではあったが、会場の一体感を促すためには、
初見の人も多いフェスではこういったことをやることに意味があるのだと思う。
ちなみにウェーブが終わったところのMOAMETALも“ ええやん ”と言っているように聞こえた。

 

「Catch me if you can」が終わると、ほんの少しばかり静寂の時間があった。
ライトの落ちたステージ上では3人が水分補給を行っていた。
そして3人がポーズを決めると、やがて「META!メタ太郎」のイントロが聴こえてきた。
館内に響き渡るドラムの破壊力や如何ばかりか。
その中を、SU-METALのクリアボイスが、ドラムの響きを凌駕する勢いで伸びていく。
僕は耳を澄まし、ただただ彼女の美声に酔いしれた。

 

中盤に差し掛かったBABYMETALのライブ。
ここまでは、盛り上がりの一体感から、まるで単独ライブであるかのような錯覚を抱いていた。
しかしながら、ライブでの披露回数が少ないこの楽曲は、
メイトの間でもどういうふうにノればいいのか意思統一はされていないようで、
「META!」と大声でコールしている人は、僕の周りでは随分と数は少なかった。
しかしサビの、敬礼を繰り返すような腕を振るポーズはさすがにみんな知っているらしく、
視界の一面には、一糸乱れぬ行進隊といった具合に、手を上げ下げする観客たちの姿が映った。
そうして不思議な一体感とともにやがて「META!メタ太郎」は終了した。

 

ここでも少しばかり空白の時間が生じた。
僕はその間に後ろに下がり、最初に観ていた位置あたりに戻った。
ややあって流れてきたイントロは「メギツネ」。
曲を耳にするなりざわつく観客たち。
僕は周囲に若干のスペースがあるのを確認してから渾身のヘドバンを繰り出した。

 

場内は、後方も含め、再びワンマンライブのような活況を呈している。
“ ソレ! ソレ! ”と手を上げ踊り狂う観客しか目に入らない。
ブレイクダウン後に、SU-METALがまた“ エブリバディ クラップ ユア ハンド ”と煽る。
大きく手拍子を続ける観客たち。
そしてその間がいつもよりも長いなと感じ始めた頃になって、YUIMETALが、
ハッと思い出したかのように“ ちゃんと見えてるよ ”と言ってスタンド席を指差した。
もしかしたら彼女は台詞を言うのをうっかり忘れていたのかもしれなかった。

 

“ 1、2、3、ジャンプ! ”の後は会場中が連続ジャンプを続けた。
後方のPA卓周りの黒Tじゃない人たちも嬉しそうにジャンプを繰り返している。
僕はひとり、ビートを貪るように激しくヘドバンを続けた。
そして会場中が狂乱したまま、やがて「メギツネ」は終了した。
単独ライブでの爆発力も凄いが、お祭り的要素のあるこの曲はフェスティバルによく似合う。

 

続く「KARATE」が始まる前は、馴染みの薄い音楽が流れていた。
もしかしたら同曲のアウトロをアレンジしたものかもしれなかった。
そしてイントロが流れ始めた途端、僕は全身で音を感じた。
やはり僕は一番この曲にのめり込める。
スッと自分だけの世界に入り込むと、体を大きく揺らさずにはいられなくなった。

 

張りがあって力強いSU-METALの唄声が鼓膜を通じて脳幹を刺激してくる。
YUIMETALとMOAMETALの2人に合わせて“ ウォウォ、ウォウォ、ウォウォ~ ”と大声で叫ぶ
途中の間奏では、もはやお馴染みとなったコール&レスポンスが行われたのだが、
何度聞いてもこのシーンは心にジーンと響いてくるものがある。
僕は涙を堪えながらレスポンスし、SU-METALの“ エブリバディジャンプ ”を合図に、
このまま倒れてしまっても構わないという思いで大きくジャンプを繰り返した。
そしてサビの部分では大きく頭を揺らし、アウトロの最後の一音が消えゆくまで陶酔感に浸った。

 

「KARATE」が終わった直後の周りの観客たちの反応はとても印象深いものだった。
それは高揚任せの大喝采といった類いのものではなく、
本当に良いものを見せてくれてありがとうといった
彼女たちに対する心からのリスペクトの拍手であった。
3人は“ アーティスト ”ではなく“ アイドル ”だといった声を今でもたまに耳にするが、
そう言う人たちは、彼女たちのライブを一度も生で観たことがないのではないだろうか。
これほどまでに観る者たちを魅了するライブパフォーマンス。
これほどまでに観客たちの心を打つ表現力。
これを“ アーティスト ”と形容せずにいったいなんと呼ぼう。
普通の“ アイドル ”だとしたら、海外の名立たるミュージシャンたちはこれほどまで支持しない。
3人は、“ アイドル ”の側面も持ち合わせた“ 一流のアーティスト ”なのである。

 

ステージ上の3人が一旦袖にハケると、すぐに「Road of Resistance」のムービーが始まった。
ライブが始まってから40分が経過しているが、ラストの曲となるにはまだ少し早い。
ムービーが終わると場内から“ Wall of Death ”コールが沸き上がった。
後方ではサークルは形成されなかったので僕はステージを凝視する。
やがて3人が旗を持ってステージの所定の位置に鎮座すると、
美しいギターオーケストレーションの音が館内中に響き渡った。
合戦の準備はいいか、とばかりに、不気味な陣太鼓と法螺貝の音が鳴る。
カウントを合図に3人が躍動すると、激しい“ Wall of Death ”が前方で始まったのだろう、
随分と多くの人の頭が左右に流れたり、小さく上下に浮いたり沈んだりしていた。

 

僕はSU-METALと一緒に歌いながらその場で頭を小刻みに揺らす。
“ Is the time!”“ Is the time!”と叫び、高速ビートに合わせて頭を振り続ける。
どうにも堪らなくなったのはその頃だった。
僕はシンガロングが始まる前のタイミングで前方へ再び移動すると、
サークルモッシュの輪の中を進み、その中心でエアギターをかました。
最高に気分の良い瞬間だった。
そしてその後は周りのメイトたちと一緒になって大声でシンガロングした。
今日がフェスだという意識はこの時点ではもう完全に頭から消え去っている。

 

その後は再び大きなサークルモッシュに興じる。
渦の回転は速い方がよりメタルのライブなのだろうが、
BABYMETALのライブでは特に速度は問題ではない。
それに参加している人たち全員が楽しければそれで良い。

 

やがて曲は終盤を迎え、SU-METALが渾身のシャウトをかます。
“ Justice forever ” と一緒になって大声で歌う。
結局サークルモッシュは曲が終わる直前まで続いた。
SU-METALが観客たちにキツネサインを掲げさせ、大盛況のまま同曲は終了したのだった。

 

3人が袖にハケ、照明が落ちて場内が暗くなると、すぐさまBABYMETALのチャントが起こった。
そのチャントはだいたい4分近く続いただろうか。
僕はその間にまた後方へ下がると、ライブ終了後すぐに出られるように、
出口の扉付近でアンコールを待った。
衣装を身に纏う時間はあるから、最後はもしかしたら「THE ONE」かもしれない。
そう期待を寄せたところで流れてきたのは「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の冒頭ムービー。
やはりファンを一つにすることを意味する「THE ONE」はフェスでは披露されないようだ。

 

スポットライトを一身に浴びるSU-METALが神々しく見える。
彼女が“ ルルル~ ”と唄い始めるとそれに合わせて手拍子が起こった。
この位置からではさすがに確認できないが、大きなサークルは左右に2つできているようだった。
そしてSU-METALの咆哮とともに“ Wall of Death ”も起こったのだろう、
前の方で沸き起こっている歓声は最後方まで届いている。

 

モッシュやWODに参加せずにこの曲をじっくりと見聞きするのは久しぶりだった。
そして相変わらずのクオリティの高さに唸った。
SU-METALの歌唱は安定感抜群で、神バンドによる演奏も非常にタイトで惚れ惚れする。
そして照明の演出が映える中、YIMETALとMOAMETALの渾身のヘドバンやバトルシーン、
可愛らしい合いの手等は、BABYMETALのライブが総合芸術であることを端的に物語っている。
楽曲の構成自体もそうなのだが、エンターテイメントとして魅せる完成度も極めて高い。

 

さすがに初見の人たちばかりの最後方付近でダメジャンプを飛んでいる人はわずかだった。
そこにいるほとんどの人はステージを観ることだけに熱中している。
スタンドの観客たちはライブ中ずっと立ちっぱなしの状態だった。
ほとんど単独ライブの体といった感じで大盛り上がりのもと、
やがてBABYMETALのライブは終了した。
3人が定番の“ We are BABYMETA ”コールで締める。
続く”See You at TOKYODOME ”では、会場の後ろの観客たちも歓声を上げていた。
そして3人は“ SEE YOU ”と言い残して颯爽とステージを後にした。
神バンドが去っても館内には、楽しかった余韻を示すざわつきが所狭しと充満していた。

 

 

 

4.

ライブが終わるなり僕はすぐに会場を後にした。
急ぎ足でシャトルバス乗り場へ向かう。
結果、たいした混雑もなく、10分ほど並んだだけですぐにバスに乗車することができた。
開場前に抱いていた心配事は幸いにも杞憂に終わった。
僕はバスに揺られながら今日一日を振り返る。

 

SUMMER SONIC Osakaへの出演が決まり、タイムテーブルが発表されると、
キャパ7千人ほどの舞洲アリーナでは狭すぎるのではないかといった声を多く耳にした。
実際のところ僕も、早々に入場規制になるのではと幾分神経を尖らせたものだった。
しかしいざ蓋を開けてみれば、先述したとおり裏のラインナップが強力だったので、
多くのメイトたちの不安はまったくの杞憂で終わった。
体感的には、今日のSONIC STAGEに詰めかけたメイトの数はざっくり5千人ほどだったように思う。
てっきりキャパ以上のメイトが集結するものとばかり思っていたので最初から見当違いであった。

 

では、数が少なかったゆえ、初見の人たちへのアピールは失敗に終わったのか?
フジロックではメイト3~4千人ほどに対し、1万人以上の初見の人が見に来ていた。
片やロッキンでは、7~8千人ほどのメイトに対し、3~4万の初見の人が押し寄せていた。
数字はすべて体感による個人的な憶測だが、今回のサマソニ大阪では、
おそらく初見の人の数は3千人にも満たなかったように思う。
結果、巻き込んで惹きつけた初見の人の数は、他のフェスに比べると弱かった印象は否めない。

 

しかしだからといって、初見の人たちへのアピールは失敗だったと結論付けるのは早計だろう。
実際に、UNDERWORLDやTHE OFFSPRINGのライブが終わった9時以降、
「KARATE」の途中くらいからぞろぞろと人が入場してきていた。
終盤、僕はほとんど後方にいたので、入場してきたばかりの若い人たちが、
それこそ何十人も僕の横を通って前へ前へと進んでいったのを幾度となく目にしたのである。
つまり、BABYMETALに興味はあったが、
止むを得ず他のステージを観に行っていた人の数もそれなりにいたのである。
そもそも当初の段階では、会場はメイトたちだけで溢れ、
開演直前に来ようと思っている初見の人は入場規制によって中へ入れず、
結果、単独ライブの様相を呈するのではないかと見込まれていたので、
たとえ2~3千人とはいえ、初見の人に披露する機会に恵まれたのは幸いであった。

 

今夜の彼女たちのライブパフォーマンスについては非の打ちどころはなかった。
ウェーブの煽りは完璧ではなかったが、それ以外での客の盛り上げ方も上手だった。
まだスタジアムライブを行っていないから断定はできないが、
おそらくSU-METALの声は、このくらいのサイズのアリーナがベストのように思う。
昨年末の横浜アリーナでの2DAYS同様、彼女の澄んだ歌声は後方まで気持ちよく響いていた。

 

楽曲のヘビーさだけをフォーカスすれば、
BABYMETALと1つ前のBullet for My Valentineは同程度だったように思うが、
BABYMETALの特色はそれだけではないと、今日のライブで改めて痛感した次第だった。
両方のバンドで僕は気持ちよくヘドバンを続け、たまにモッシュにも参加したのだが、
Bullet for My Valentineのライブ中はその2つがマストだった。
一方でBABYMETALのライブ中は、ヘドバンやモッシュはもはや既定路線で、
美しいヴォーカルのメロディやギターの旋律にうっとりしたり、
3人の統制の取れたダンスパフォーマンスに目を奪われたり、
またフリコピまではいかなくとも、一緒にコールしたりジャンプしたりと、
楽しんだ要素は、他のバンドのライブに比べると遥かに多かった。
これだけ複合的に楽しめるBABYMETALは、やはり唯一無二の存在なんだと改めて強く感じた。

 

神バンドの演奏もまた非常にタイトで素晴らしかった。
後方の位置では音圧はほとんど感じなかったが、音響バランスは良かったように思う。
でもやはり、今日のライブで最大の賛辞を送らなければならないのは、
言うまでもなくBABYMETALの3人だろう。
彼女たちは若干17、8歳にして、見事にSONIC STAGEのヘッドライナー、
それもフェスの大トリといった大役を務めきったのである。
今後、10代のアクトが、海外のミュージシャンが多く参加するフェスの大トリを、
果たして務めることはあるのだろうか? いや、それは限りなく0%に近いだろう。
彼女たちは本日、ここ大阪に地に、新たな伝説を残した。
そして大きな自信を得たに違いない。
そのライブに一ファンとして参加できたことを心より嬉しく思う。

 

今夜のライブによって国内4大フェスすべてを無事に完遂したBABYMETAL。
僕はRISING SUN以外の3つのフェスに参戦したのだが、
どのライブも非常に思い出深い、そして感慨深いものとなった。
フジロックの夕闇迫る小雨のライブ。
ライトアップされたステージはとても華やで幻想的でもあった。
真夏の炎天下のもと、ピットも灼熱と化したロッキンジャパン。
彼女たちの爽やかな笑顔は快晴の大空にとてもよく似合っていた。
そして屋内の独特な雰囲気の中で行われた今日のサマソニ大阪。
フェスなのにスタンド席までが総立ちとなるライブはそうそうお目にかかれない。
3つのフェスそれぞれに趣があり、非常に貴重な体験となった。
そして来月はいよいよ、東京ドームで2DAYSライブが開催される。
僕は大いなる余韻に浸りつつ、同時に大きな期待に胸を弾ませながら、
その後電車に揺られて帰途に就いた。

 

 

 

 

 

 

 

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